FT240-43の代替品としてFair-Riteの「5943003801」

いろいろな経済的、為替的、地政学的な要因により、FT240-43が日本にて入手しずらくなっています。正確には入手できることはできるけど、以前のように安くないよ、という事態になっています。

そこでいろいろと調べてみると、FT240-43の代替品として、Fair-Riteの「5943003801」が、Digi-Keyのサイトにて紹介されています。

この「5943003801」、単価としては二千円しない、というか千円ちょっとで安いのですが、問題は、日本からDigi-Keyで小口(数個)で購入しようとすると、送料その他で結局は倍近い費用になってしまうのです。

なので、だったら素直に国内在庫の正規のFT240-43を購入した方がいいのですが、アマチュア的には「5943003801」も試してみたいなぁ、と思いました。

そこでいろいろと思案していると、とあるルートで商品単価「のみ」で購入できることが判明し、さっそく二つ入手してみました。(こういうのは入手できるときに複数個は入手したいですね)

先のDig-Keyのサイトを見ると、FT240-43と「5943003801」はサイズはほぼ同じで、違うのはAL値がちょっと違うところくらいです。FT240-43のAL値は「1250前後」なのに対して、「5943003801」のAL値は「1075±20%」なので、まぁ「当たり」なら誤差の範囲内に収まりますかね? そもそもフェライトコア自体がだいぶ品質にばらつきがあるみたいなので、個別に調整が必要なのはすでに会得済みですし。

さて、そのとあるルートでポチった「5943003801」ですが、国内発送だったので翌日には届きました。

この箱で届くということは……ということで配達の早さもちょっと納得ですが、ただここから直接買うとやっぱり送料がかかるので、とあるルート、大切にしたいです。

ハンダ吸い取り線でまずはFT240-43でUNUN

今回は、これまでに何個も作ってきた結果として以前から温めていたアイデアである「平たい編線」を使って作ってみたいと思います。

というのも、いつもはオヤイデ電気でPEW(ポリエステル樹脂被膜エナメル銅線)とかUEW(ポリウレタン樹脂被膜エナメル銅線)を使っていますが、一度フェライトコアに巻いてしまうと巻き直しがきれいにできないために、どうも今一つだったのです。

しかもPEWは加水分解するという、あまりよろしくない特性もあるので、もっぱらUEWを使っているのですが、いずれにしても取り回しがしづらい、
言ってしまうとそもそも硬くて巻きにくいのです。

さらに、この銅線とフェライトコアとの距離がSWRの特性にもかなり影響があるので、硬いのにも関わらず、微妙な調整が求められるのです。

そこでもっと柔らかくて扱いやすい身近な線材を探していたところ、ふと工具箱の中に「ハンダ吸い取り線」を見つけました。

これなら、フェライトコア自体にはぴっちりと接触してしまいますが、いろいろな幅のモノを選択できますし、なにより「巻き直しが容易」なので、いろいろと試すことができます。

そこで、今回は1.5mm2.0mm幅のハンダ吸い取り線を用意して、まずはFT240-43でUNUNを試作してみることにしました。

まずは実際に無線機から給電される一次側を2.0mmとして、接触しないようにして二回巻きとします。

そしたらマスキングテープでしっかりと固定&絶縁してから、二次側として1.5mmをまずは七回巻いてから、反対側に折り返し(これが八回目となる)してから、残りを巻いて、全部で十四巻きとします。

あとは要所要所をマスキングテープで固定&絶縁して、一次側と二次側をハンダをのせて接続してアースとして、とりあえず100pFのコンデンサで一次側の給電点と接続します。

これでUNUNができましたので、いつものNanoVNAで1~50MHzまでのSWR特性を見てみます。するとどうでしょう、なかなかの良いSWR特性です。

ちょっと20MHz前後の盛り上がりが高いですが、まぁこの程度の盛り上がりなら、巻き方でどうにでもなりそうな感じです。

続いて「5943003801」でUNUN

ハンダ吸い取り線でのUNUNはうまくいきそうだ、ということが判ったので、続いて「5943003801」にも同じように巻いていきます。

するとどうでしょう?FT240-43よりも盛り上がりが台形?!の、でも多分調整できそうな感じのSWR特性になりました。

というわけで、ここからは巻き方とコンデンサを変えてみます。

まずは盛り上がりをもう少し下げるために、二次側の折り返し後の巻き方のをもう少し密に(狭く)してみます。さらにこの部分を一次側に近づけたり……は良くならなかったので、遠ざけたり……これは正解でした。

あとはコンデンサの値を200pFにしてみたり(高い周波数側のSWR特性が狭くなってしまった)、68pFにしてみたり(20MHz付近の盛り上がりがドーンと上がってしまった)。

ま、仮組みなのでひげがあったりするのはご愛敬ですが、最終的には、FT240-43の時と同じ、150pFでばっちりでした。

このままケースに収めちゃってもいいかな?という気もしましたが、やはりフェライトコア一つだと50w出し続けるのはきついかも?ということで、今度はもう少し太いハンダ吸い取り線(3.0mmとか3.5mmとか)を用意して、フェライトコア一つと二つの場合を試作してから、正式に組んでみたいと思います。

「5943003801」スタックでUNUN

ハンダ吸い取り線を使って仮巻きの状態でもSWRカーブがいい感じになったので、どうせ作るならハイパワー対応にしたいということで、「5943003801」も二段重ね、スタックでEFHW用のUNUNバランを作ってみることにする。

ハンダ吸い取り線は3.0mm3.5mmを用意したので、これを使ってまずは二次側に3.0mmを使って、14巻きとするが、途中で折り返して「W1JR巻き」にする。

折り返し前だけ絶縁テープで完全に固定して、折り返し後はハイバンドの調整のために移動することがあるので、とりあえずマスキングテープで止めておく。

さらに一次側をこの絶縁テープの上から2巻きして、二次側との共通グラウンド部分をはんだ付けする。

さらに、一次側の給電側と共通グラウンド側の間に高耐圧コンデンサ150pFをはんだ付け。ハンダ吸い取り線だからはんだ付けもラクチン。

そしたらまずは疑似空中線としている抵抗(2.5kΩ)を二次側アンテナ側と共通グラウンドの間に繋げて、NanoVNAで机上でSWRカーブを見てみる。

何かこのままでもいいかなー、というカーブですが、20MHz付近のSWRの山をもう少し下げたいので、二次側の折り返し後を少し移動したりしてみると……

まぁまぁブロードな、というか「5943003801」独特?のSWRカーブになりました。

例によってこの机上で縦置きにしてみると、さらにいい感じに下がります。

あとはいままでFT240-43×一個だったUNUNバランケースに入れ替えてみると……

あららら、なんだか変なSWRになりました。使えるのかな!?!?

これはあまりよくない感じなので、もう少し巻き方その他を詰めていきたいと思います。


ハムフェアを挟んでいろいろと試行錯誤してみますが、この波打った変なSWRカーブはコネクタ類のせいかな?と思い、あれこれ確認をしてみましたが、これといった原因ポイントが見つかりませんでした。

というか、なぜか50MHzでもドンと落ちるようになってしまったので、これはこれでありかも?!?!ですが、何にしても実際のワイヤーを繋いでみないと、という感じですね。

「5943003801」スタックでUNUN、の続き

どうにも「5943003801」でのUNUNの製作がしっくりこないので、いっそ巻き数を変更してみることにしました。

FT240-43の代替品として推奨されているので一次側を2巻き、二次側を14巻きにしていますが、これを思い切って二次側を13巻きとか12巻きにしてみます。

まずは二次側を13巻きに減らしてみると、ハイバンドが悪くなりましたが、なんだかFT240-43と同じようないい感じのSWRカーブです。

さらに12巻きにしてみると、ハイバンドも下がってきましたが、まだちょっと高いですね。ここまでくると、ハイバンドのSWRを下げるために、あとは一次側の巻き間隔をもう少し広くするのがよさそうです。

おおお、ばっちり!! (50MHzは落ちなくなっちゃったけど)

「5943003801」のスタックでの最初の一次側の巻き間隔と比べてみてください。微妙に少し広いはずです。

「5943003801」スタックでUNUN、まとめ

さて、最終的に一次側を2巻き、二次側を12巻きとした「5943003801」を二つ、スタックとしたEFHW用UNUNバランですが、実際に40m(3.5MHz~)のワイヤーを繋いで、SWR特性を見てみました。

某所の駐車場は他の車が止まっていたので、ドンツキの林道でのテストでしたが、地上高3mH程度のワイヤー設置でSWR特性をみてみます。(普通に考えたら悪条件ですね)

一次側を2巻き、二次側を12巻きとした「5943003801」を二つ、スタックとしたEFHW用UNUNバランに、約3mHのに40m(3.5MHz~)のワイヤーを繋いでNanoVNAで見たSWR特性

このSWR特性はなかなかではないでしょうか?

同条件(取り替えただけ)の、FT240-43を二つ使ったEFHW用UNUNバラン(三宅島運用実績あり)のSWR特性も合わせて貼っておきます。

ちと3.5MHzとか7MHzとかがFT240-43よりも悪いですが、代わりに28MHzは「5943003801」の方がよくなってますが、これを見る限りでは、「5943003801」は十二分に「FT240-43」の代替品になりえると言えると思います。

いずれにしても、巻き数や線材がことなりますので、この辺をもう少し研究してみたいなということで、次はやっぱり2:14巻きで、一次側の巻き間隔をもう少し広くしたものを作って、今までのEFHW用UNUNバランと比較してみたいと思います。

「5943003801」スタックでUNUN……まだまだ続きます

実はこの後、さらに5943003801を入手して、2:14巻きバージョンを改めて作り直してみました。それはかなり納得いくばかりか、新たにいろいろと分かったことがありますので、別ページとして改めてまとめさせていただきますので、もう少しお時間ください😅

※EFHW関連のページ

EFHW(UNUN)の作り方

二種類のEFHWバランで違いを探る

FT240-43を二個使った高耐入力EFHWバランの製作

FT240-43の代替品としてFair-Riteの「5943003801」

EFHW用UNUNバランのマウント基板の製作

EFHW用UNUNバランの作り方(YouTube 動画)